ラヴ・ミー・テンダー
「えっ?」

武智さんの声が聞こえたので、私は彼の方に視線を向けた。

彼は驚いた様子で私のことを見ていた。

「えっ…あっ、いえ…」

しまった、武智さんがいるのを忘れていた。

それ以前にここは店内だった。

これは絶対に頭がおかしい人だって思われたよね…?

「終わりましたよ」

武智さんが声をかけてきたので、
「ありがとうございました」

私は椅子から立ちあがると、お礼を言った。

パンクしていた自転車は直っていた。

よかった、これで買い物に行ける。

そう思いながら自転車を眺めていたら、
「あの」

武智さんが声をかけてきた。

「はい」

それに返事をしたら、
「何かあったら言ってください」

武智さんが言った。
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