ラヴ・ミー・テンダー
「ごめん、もう何も言わないよ。

だけどある程度親しくなったら、この人なら大丈夫だって自分で思ったらすぐに本当のことを打ち明けるんだぞ」

そう言ったミヤジに、
「ありがとう、ミヤジ」

私はお礼を言った。

「あーあ、俺が後10年若かったらすぐにでも佃をもらってやるのに」

やれやれと言うように息を吐いたミヤジに、
「それ、結婚しているうえに娘がいる人のことが言うセリフじゃないと思うよ」

私は言い返した。

「俺なりに佃のことを慰めているんだ。

下心はこれと言って特にない」

「何か清々しいわ…」

と言うか、“下心”とはっきりと言うんかいな。

「とりあえず、ストーカーの件に関しての実害は今のところは手紙だけなんだな?」

「まあ、今のところはね」

私はナイフでワッフルを切り分けると、フォークでそれを差して口に入れた。
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