ラヴ・ミー・テンダー
「まだ犯人と断定するのは早過ぎる。

もう少し様子を見て、それでどうするか考えよう」

ミヤジは言った。

「う、うん…」

私は首を縦に振ってうなずいた。

「とにかく、もうこれ以上は話を広げるな。

今のところで知っているのは編集部の連中と俺だけだな?」

「今のところは…」

「話が広がるとややこしいことになるのは目に見えてる。

もうこれ以上は話を広げない方がいいし、誰にも言わない方がいい」

「わかった」

私は返事をすると、自分を落ち着かせるために深呼吸をした。

「何かあっても自分で解決しようとするな。

被害がひどいようだったら、すぐにでも警察に相談するんだぞ」

そう言ったミヤジに、私はわかったと返事をした。
< 57 / 155 >

この作品をシェア

pagetop