ラヴ・ミー・テンダー
「えっ、あっ…!?」

何を聞かれたんだ!?

「すみません、今訳あって家に入れないんですよ」

武智さんが言った。

「えっ?」

それは何ででしょうか?

そう思っていたら、
「家の鍵を失くしてしまいまして…」

武智さんが言った。

「そ、そうだったんですか…」

「同居人がいるんですけれど、今日は研修で明日まで帰ってこないみたいで」

武智さん、一緒に暮らしてる人がいるんだ…。

彼からそのことを聞かされた私の胸がチクリと痛んだ。

「他に頼れる知りあいもいないですし、いたとしても結婚してる人の方が多いのでお邪魔するのはあれで…」

そう説明する武智さんに、
「それはもしかして、私の家に泊めて欲しいと言うことですか?」

私は聞き返した。
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