ラヴ・ミー・テンダー
「その方がいいですね。

もし届けを出した後ですぐに見つかったとなったら迷惑がかかりますもんね」

そう言った私に、
「とんだ大騒動ですよね」

武智さんが言った後で、私たちは笑いあった。

笑いあうのが終わると、お腹がグーッと鳴った音がした。

「あっ…」

その音は武智さんだった。

「そう言えば、まだ夕飯を食べてなかった…」

「私も…」

夕飯を食べようとしたらすぐに武智さんから電話があったので、すっかりと忘れてしまっていた。

「釜玉うどんでいいですか?

冷凍のうどんを温めてたまごを入れるだけなんですけれど…」

そう言った私に、
「ごちそうになってもいいんですか?」

武智さんは聞いてきた。

「いいですよ、すぐにお出しします」

「ありがとうございます」

武智さんの返事を聞くと、私はキッチンへと向かった。
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