ラヴ・ミー・テンダー
まだ発表していない新作の内容を書いた誹謗中傷の手紙を送り、さらには自転車をパンクさせて私に恐怖を与えて…それらのやり方に、私は怒るどころか呆れた。

そして先日、雨が降ったのを口実に私の家に行こうとした西田さんは武智さんが私の家に入って行くところを目撃した。

それを見た西田さんは、私に自分への気持ちがないと言うことに気づかされた。

そして、今回の犯行に及んだと言うことだった。

「ヨリを戻したいと言うよりも、ただ単に佃さんのヒモになろうって言う魂胆かも知れないですね」

武智さんがやれやれと言うように息を吐いたその時、
「陽葵ちゃん」

４歳下の妹の芽実が現れた。

「芽実…」

この時間はまだ芽実は仕事のはずだけど、それを放り出して警察署を訪ねてきてくれたのだろう。
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