ラヴ・ミー・テンダー
仕事を放り出して駆けつけてくれた芽実は首を横に振ると、
「気にしなくていいよ、陽葵ちゃんが無事でよかった」
と、言った。

まるで姉みたいだなと、私は思った。

「僕、彼女を家まで送って行きます」

そう思っていたら、武智さんが言った。

「えっ…」

それに対して聞き返した私だったけれど、その声は彼らの耳に届いていないようだった。

「そうですか、何から何までありがとうございます」

芽実はお礼を言った。

…まあ、その方がいいかも知れない。

芽実と別れると、私たちは一緒に歩き出した。

「妹さんがきてくれてよかったですね」

武智さんが声をかけてきた。

「はい、ええ…」

私はその場に立ち止まると、
「あの…」
と、武智さんに声をかけた。
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