ラヴ・ミー・テンダー
「はい、何ですか?」

武智さんは首を傾げると、そう聞いてきた。

「実は…武智さんに黙っていたことがあります」

そう言った私に、
「…何をですか?」

武智さんは聞き返してきた。

「私…本当は、会社勤めをしていないんです…」

そこまで言って武智さんに視線を向けると、
「続けてください」
と、彼は言った。

「会社に勤めているのは妹の方で…妹が勤めている会社の名前と勤めている部署も借りて、ウソをついて…」

私は武智さんを見つめると、
「ごめんなさい、ウソをついてすみませんでした」
と、躰を2つに折って謝った。

「あ、あの…すみません、顔をあげてください」

慌てたように言った武智さんに、私はすぐに躰を戻した。

「それで、本当のご職業は…?」

そう聞いてきた武智さんに、私は口を開いた。
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