ラヴ・ミー・テンダー

「恥ずかしながら、本を書いています。

小説家と言う仕事です」

そう答えた私に、
「…ああ、そう言うことでしたか」
と、武智さんは呟くように言った。

「えっ？」

何でそんなことを呟いたのか、よくわからなかった。

「先日、家に泊まった時に本棚に同じ作者の同じ本が１０冊以上もあったことに驚いたんです。

ダブリにしてはおかしいし、一体何なのだろうなと思いながら同居人に相談をしたら、小説家かそう言った関係の仕事をしている人じゃないかと返事が返ってきました」

そう説明をした武智さんに、
「それって…つまり、気づいていたと言うことなんですか？」

私は聞き返した。

「はい、恥ずかしながら…」

武智さんは照れたように呟いたのだった。