ラヴ・ミー・テンダー
「秘書になったばかりの日にひっつめ髪で社長にあいさつしに行ったら、もったいないとか言われて解かれたんでしょう？」

そう話をしていた芽実を思い出しながら、私は言った。

「これならいいって言って許してくれた。

最終的には髪の毛をさわることができればそれでいいみたいだし」

そう言った芽実に、
「マジか、ゾッコンだな」

日生は言い返した。

「陽葵姉ちゃんは最近つきあい始めたんだって？

前の彼氏のえーっと、ニシ…何だったっけか？

俺、そいつのことがマジで嫌いだったんだよねー」

「えっ、そうなの？」

ビールを飲みながら明かされたその事実に、私は思わず聞き返した。

「あら、日生も同じだったの？」

「そう聞くってことは、芽実姉ちゃんも？」

２人は仲良く握手を交わした。
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