ラヴ・ミー・テンダー
「それで何があったのかって聞いたら、しつこいクレーマーに絡まれたって答えたらしい。

何でもお昼の1時までのタイムセールスだった牛肉を欲しがったお客さんがいたみたいで、それで揉めたらしい」

「どう言うことなの?」

「そのお客さんがきたのは2時だったうえに、牛肉のタイムセールスをやっていたのは昨日だったんだって」

「あーっ、そりゃお客さんが悪いわ。

2時にきたのはともかくとして、日にちを勘違いしているお客さんが悪いわ」

聖恵はうんうんと、共感するように首を縦に振ってうなずいた。

「説明したんでしょ?」

そう聞いてきた聖恵に、
「説明した…みたいなんだけど、理不尽だって逆ギレしたうえに販売しろって店内で騒いだんだって。

挙げ句の果てにはバックヤードにまで乗り込んできたみたいで」

私は言った。
< 98 / 155 >

この作品をシェア

pagetop