慟哭、禁断の果てに
彼との出逢いは夜の街だった

接待の下見だと言って、私の店に来たのが始まり

私はてっとり早く稼げる夜の商売を始めたばかりで
慣れない接客、ずっと一人で友達も作らずにいた私に
したら、コミュニケーションは至難の技だった

会話力もなく、ただ、祖母の受け売りで笑顔だけは
自信があった

そんな私に彼は言った

”舞ちゃんの笑顔は幸せになるね”

と、、、。

祖母を思い出して、私は人目も憚らずに泣いた

彼は少し困ったように微笑んで、綺麗にアイロンがけ
された薄いブルーのハンカチを、そっと差し出して
くれた。

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