慟哭、禁断の果てに
彼は、世間知らずの私でも分かる、有名な企業の
営業マンだった。

いつもスマートに着こなすスーツは、彼のために
あしらわれたと思わせるほど。

パッチリとした二重、目尻の黒子は色気を漂わせ、
ざっくりとオールバックにした黒髪は、出来る男の
象徴とでも言おうか

すべてにおいて完璧な彼は、もちろん人を惹き付ける
魅力も兼ね備えてるらしく、瞬く間に虜となった

「和宏さんは今、その彼女はいるんですか?」
「直球だねー、舞ちゃんは。残念ながらいないよ」

ちっとも残念じゃない

むしろ、ものすごくラッキーです!

私は膝の上で小さくガッツポーズをした

彼が私の店に通い初めて半年が過ぎた頃だった


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