エメラルドの祝福~願えよ、さらば叶えられん~
「色々条件を変えて試してみるしかあるまい。現実にこの指輪の力で入れ替わったのだから、戻せないわけもないんだ」
「そうですね。では今日のところは諦めますか」
「そうだな。悪いがコネリー、監視を頼むぞ」
「はい」
コネリーに後を任せて、ローガンはバートと一緒に続き間を抜け、秘密通路を使って使用人控室へ戻る。
固い床に毛布を敷いて寝るのにも慣れてしまった。大きなため息に、バートは少し離れた位置に横になりながら苦笑する。
「残念そうですね」
「ああ。……ベリル殿にエメラルドのネックレスを持ってきてもらったらどうだろう。ふたつ揃えば、ひとつよりも魔法の発動しやすいんじゃないだろうか」
「そうですね。……そういえば、先ほどベリル様をお送りしたとき、なにか屋敷でもめごとがあるようでした」
「なに?」
ローガンは半身を起き上がらせ、詳しく話せ、と彼を促す。
「屋敷の中で、いさかいが起こっているようでした。ベリル様……中身はシンディ様ですね。と、奥方様の間で何かがあったようです」
「シンディ殿か」