エメラルドの祝福~願えよ、さらば叶えられん~
「……とりあえずベリル殿に手紙を書こう。内情を明かすかどうかは置いておいて、エメラルドの魔石はこちらで保管したほうがいいだろう。バート、シンディ殿を屋敷まで送ってやってくれ。そして手紙を見せて、ベリル殿から宝石を預かってきてくれないか?」
ローガンは急いで手紙をしたためた。
まずは元の姿に戻ったことを喜び、その姿と対面できる日を楽しみにしているということ。
自分のほうは、エメラルドの指輪で元に戻ることを願ったがうまくいかなかったこと。バートにエメラルドのネックレスを預けてほしいということを書きつける。
「今後、帰りは必ず王家の馬車でお送りする、ということにすればいいかもしれませんね。そうすればベリル様と顔を合わせるチャンスも増えます」
「そうだな。では侯爵あてにそのようにローガン名義で通達しよう。コネリー、公印を持ってきてくれ」
「はい」
こうして二通の手紙を書き終えたローガンは、それをバートに託し、あとを任せた。
身動きが取れない自分が、非常に悔しく、落ち着かない。
心の底からローガンに戻りたかった。