エメラルドの祝福~願えよ、さらば叶えられん~
「まあね。願いが叶うといういわくつきの宝玉だ。シンディが手に入れたら、必ず僕との結婚を願ってくれると思っていた。……なのに結果は、王太子様が花嫁募集をするっていう通達だ。二十五歳までは独身を貫くと言っていたはずの王太子様が心変わりするのは、おかしい。宝玉の力なんだろう? 結局は権力が望みだったのかと失望したよ」
「そんなわけないわ! 誤解よ」
「君にシンディの心のうちなど分からないだろう。シンディは権力を望んだ。僕だって彼女を得るために必死だったのに! 知っているかい? 僕が賭けカードを自分で主催するようになったのは、シンディとの結婚のためだ。ギャンブルというものは、なんだかんだ言っても最終的にオーナーに金が回るようになっている。やればやるほど、金は参加者が喜んで落としていくんだ。僕は参加者がその気になるような景品を探していればいいだけ。手っ取り早く金を稼げる方法として、二年前から始めたんだよ。シンディが侯爵家の令嬢である以上、身分で侯爵を納得させることはできない。だったら必要なものは金銭だ。そうだろう? だから僕は多少の危険を冒しても、いいと思っていた。みんなシンディのためだ!」
ヒューゴの激しい感情を見せつけられて、一瞬、うのみにしそうになる。
しかしベリルは考え直す。ヒューゴの言葉にはシンディの言っていることとの食い違いがある。