エメラルドの祝福~願えよ、さらば叶えられん~
「あら、つけてくださいな、ヒューゴ」
「では失礼して」
ヒューゴがシンディの後ろに回り、首飾りを白磁の肌に乗せる。つけやすいように髪をかきあげたシンディの首筋があらわになり、居合わせた男性の目が釘付けになった。
まるで見せつけるように体が触れる距離でこそこそ話をするふたりは、夫婦のようだ。
「うん。似合う。美しいよ」
彼女にネックレスを付け、中央のエメラルドにキスをする。
まるでシンディの胸に触れるかのようにも見えてしまい、ベリルは顔が真っ赤になる。
しかし、そんな触れ合いには慣れているのかシンディは平気そうだ。
「願いが叶うってどうすればいいのかしら」
シンディは自らが身に着けた宝石を持ち上げ、透かして見るようなしぐさをする。
ヒューゴは苦笑しつつ、彼女の肩を抱く。
「さあ。眉唾ものの噂だからね。願っていればいつか叶うんじゃないかな」
「まあ、適当なのね」
シンディが拗ねて見せ、ヒューゴはとろけたような表情で、彼女を見つめていた。そこにあるのは恋人同士の空気だ。
これ以上見ていられなくて、ベリルは目をそらし、適当な理由をつけて部屋を出ることにした。