エメラルドの祝福~願えよ、さらば叶えられん~
「貴方にはこれから専門の教師が付きます。王家の歴史、諸外国との付き合い方、学ぶことはたくさんあるわ。それと婚礼のドレスも作らなくては。仕立て師もあなたのような美しい女性になら腕がなるでしょうね」
「そんな。その」
褒められなれていないベリルは、こんな時にどう返すのが正しいのかもよく分からない。
「それと、この子があなたの側仕えになるわ。ホワイト子爵家の次女のドナよ」
紹介された女性は、ベリルより十歳ほど年上の女性だ。
「ドナと申します。シンディ様、どうぞよろしくお願いいたします」
「まあ子爵家のお嬢様が私なんかに」
「とんでもないです。光栄ですわ」
ドナは、一度結婚したが夫を早くに亡くし、子爵家に戻ったのだそうだ。適齢期も過ぎた今、再婚するよりも仕事をして生きていきたいと城仕えをしているらしい。
結婚経験もあるドナは、何も知らないベリルにとっていざというときに頼れる相手となるだろうと、王妃様が直々に頼んでくれたのだそう。
「ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします」
周囲の人はみんないい人で、ベリルはひとまずほっとした。肝心の旦那様となる人が苦手だと感じるのは辛いが。