エメラルドの祝福~願えよ、さらば叶えられん~
それからしばらくして、コネリーが戻ってきた。
「なんで、ローガン様がここにいるんです?」
彼はアンドリューを見るなり、そう言った。
「バートが手引きしてくれたんだ。城下町でもうひとりの賊と再会して、いい加減街をうろつくのも危険かと思ってな」
「すみません、シンディ様。いきなり男がいたのでは驚いたでしょう。一応弁明させていただきますが、私はこの部屋には誰もいないものと思っていたのです」
「わかっています。大丈夫ですわ。こちらのお方は終始紳士でした。……でも、説明していただけます? 私はこの方と、城下町で会ったことがあります。そのときにお伺いした名前は、“アンドリュー・フック”でしたわ。でもあなたは今、この方をローガン様とおっしゃった」
ちらりと責めるような目でアンドリューがコネリーを見る。
憮然とした表情のコネリーは、「責められても困ります。情報をちゃんと回してくれないバートのせいでしょう」と反論した。
そして、ベリルに向き直ると、笑顔を見せる。
「あっちのローガン王子は執務漬けにし、先生には、シンディ様は体調が悪く一室で休ませているとお伝えしました。これで、しばらく時間が稼げたので、一から順に説明しましょう」