エメラルドの祝福~願えよ、さらば叶えられん~
「おい、コネリー。彼女を巻き込む気か?」
アンドリューが責めるような口調で言ったが、コネリーはぴしゃりと跳ね返した。
「こちらのシンディ様はローガン王子の婚約者です。ですが、あの偽ローガンのせいで不快な思いをさせられているのですよ。お守りするうえでも、いっそ秘密を共有し協力者となっていただいたほうが得策だと思います」
と、アンドリューが痛ましげな眼でベリルを見つめる。
「不快な思い……とは、なにかされたのか?」
「え……」
ベリルの脳裏に先ほどのキスが蘇る。気持ち悪くすぐにでも洗い流したい。そんな思いが顔に出ていたのか、アンドリューは「くそっ、好き放題やりやがって」と珍しく荒い言葉を吐いた。
コネリーは居住まいを正し、シンディの右手にキスを落とした。
「私はこれから、あなた様には嘘は申しません。シンディ様は聡明で真実を見極める目をお持ちだ。私は信頼に足る女性だと判断いたしました。これから話す内容は途方もないことな上に、大変な機密事項です。あなたも我々とともに秘密を守り、協力してくれると約束してくれますか?」