エメラルドの祝福~願えよ、さらば叶えられん~
「仕方ないだろう。城下町で犯罪者の仲間に引きずり込まれるよりマシだ。情報を引き出せというなら潜入してもいいが」
「やめてください。間違って殺されでもしたら取り返しがつきません。こちらで何とかしますから、じっとしていてください」
「ああ、頼む。……ベリル殿」
「はい?」
「次に会えるときは元に戻れているといいんだが。君には本当の自分の姿で会いたい。もちろん、君も本当の君の姿で」
例え顔が違くとも、ローガンはローガンだ。
ベリルは、彼の話し方が好きだ。それが恋と呼べるものかまでは分からないが、顔が怖くとも、ローガンには好感を持っている。
「……そうですね。私もどうやったら元に戻れるのか考えてみます」
叶うなら、ベリルとしてもう一度会いたい。
だってローガンは、ベリルがベリルであったときから、優しかった。
あのベリルにもう一度会いたいと願ってくれた人だから。
心の底からベリルに戻りたいと願ったのは、もしかしたら初めてだったかもしれない。