先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「置田君、花笑さんの好きな人って知ってる?」
思わず聞いてしまったんだけど、置田君はシートに預けてた背をガバッと起こしこちらに迫る
「えっそんな人いるの?おいっ誰だそれっ?」
「いやっ私もわからないんだけど・・」
「えー誰だそれー俺かなーむふふ・・・」
思わず後ろに引いてしまった私を無視して、なんか気持ち悪く一人の世界に入ってしまった。
置田君は知るわけないか―。
・・・
週明け月曜日
「知佳ちゃんこの間はごめんね」
すまなそうに謝る花笑さんをみてほっとした。
「私は全然。体調は大丈夫ですか?」
「うん大丈夫、ありがとう。知佳ちゃん置田君に送ってもらったそうだけど大丈夫だった?」
ちょっとルンルンで聞いてくるのはなぜだろう?
「ああ、うちの前までタクシーで送ってもらってそのまま別れたけどそれがなにか?」
「あっそうなの?・・」
ちょっとしゅんとして肩を落とす。何を期待してるんだか。
「それより、あの時お迎えに来てくれた人って、例の彼氏さんですか?」
「っ、いや~別にそんなんじゃないよ。日野君に聞いたの?」
なんか目が泳いでる。
「いえ、家族…みたいな人としか」
「そ、そう」
その時予鈴がなって朝礼が始まる。話が途中な気がするけどそれから蒸し返すことはなかった。