先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「…え?」
「おい、操、どういうことだ?俺達は半年も前に別れただろう。それなのにそんな理由でこんなこと続けてたのか?」
息を飲む二人を前に操は黙りこむ。
「おい、何とか言ったらどうなんだ!」
睨む俺を固い表情で見ていた操はため息をついて、
「そうね、半年も前に別れたわね。その子が切っ掛けで。」
まるで花笑が悪いような言い方に益々怒りが込み上げる。
「花笑は関係ないだろ!ふざけんな!」
怒鳴り声にビクつく二人を見て余計に腹が立った。
「…今は何を言っても聞いてくれなさそうね。早くその子を医務室に連れて行った方がいいわ。」
花笑を見ると震えている。
このままここに居ると花笑が辛いだろう。
チッと舌打ちをして、花笑を抱え立ち上がった。
通りすぎるとき、
「お前ら、今度花笑に何かしたらどうなるか解ってんだろうな?」
睨み上げドスを効かせる。
「解ってるわ。あなた達、もう二度と手を出すようなことしないわよね?」
「「は、はい」」
青ざめた表情で返事をする二人を見ても怒りが収まらない。
「今度何かしたらただじゃおかないからな」
捨て台詞を吐きその場から去った。
花笑は涙を流し「ごめんなさい、ごめんなさい…」と小さな声で何度も謝っていた。
「守ってやれなくてごめん…」
花笑が悪いことなど何ひとつないのに、こんなになるまで我慢してたのかと思うとやりきれない。
今まで薄々気付いていても助けてやれなかったことを後悔した。