先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
休憩時間の終わりごろ、早めに戻ってきた置田を捕まえて、リフレッシュルームへ行った。
コーヒーを2つ買い、置田に渡す。
「山片課長…」
なんとなく、連れられてきた理由を察している置田は、神妙な顔で窺ってくる。
「松崎を操に会わせたようだな。」
「は、はい。…余計なことしたかもしれません。でも、花笑さんの辛い顔は見たくなくて…」
俯き、まだ飲んでないコーヒーを弄ぶ。
「いや、当事者である俺には出来なかった。操の弟であるお前が取り持ってくれたから、操も正直に話したんだと思う。感謝してる。」
ガバッと顔を上げ、信じられないような顔をする置田。
「なんだ?」
「あ、いや。感謝されるなんて思わなくて…」
「おかげで松崎は過去に囚われずに前を向くことができたんだ。感謝しかないだろ。」
「やっぱりオレ、いい仕事しましたよね!課長に感謝されるなんていい気分!もっと感謝してください!」
パッと顔が華やぎいつもの調子のいい置田が戻ってきた。
「お前、調子が良すぎるな」
俺も気が緩んで笑いながら、軽く小突いてやる。
置田がへへっと照れ笑いし、小突かれた頭を摩りながら思い出したように聞いてきた。
「そういえば、結局今は課長と花笑さんってどういう関係なんですか?」
「…お前には関係ない」
なんとなく、誤魔化した。今の関係に気付いてないようだが、蟠りが無くなったとはいえ花笑とのことを公表するつもりはなかった。
「え~っ関係あると思うんですけど~」
むくれる置田に煩いと一蹴してコーヒーを飲んだ。