先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
そうか、この間のキスがこいつにとってファーストキスだったのか。
感慨にふけって黙り込んでいたら、不安そうな顔して
「この年まで経験ないって、やっぱり引く?」
私やっぱり痛い女なんだ…とかなんとかぶつぶつと言っている
「何言ってんだ、そんな訳あるか。嬉しいに決まってる」
顔を上げさせ見つめると目を潤ませて
「私にとってこうくんが全てなの。」
思わず眉間に皺がより、不機嫌に指摘する
「‥また呼び方間違ってるぞ」
「わ、航さんが貰ってくれないと私一生痛い女なんだからっ。」
自棄になって言い放つ花笑に少々驚く。
「花笑‥」
「この間は何もしてくれなかったから、何か不安で…」
この間泊まった時、何もせずただ一緒に寝ただけだったが、気にしてたのか…。
頭を撫で一つにしていたヘアゴムをスッと取り、きれいな髪をすくいキスをする。
花笑はされるがまま、俯いている。
「お前の家にはするには必要なものがなかったからな、俺も我慢してたんだ。」
「え?…ひゃあっ!」
何のことだかわからずに顔を上げ首をかしげている花笑をひょいっと抱き上げ、驚きしがみ付いた拍子にチュッと一つキスをした。