先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
そんなこんなで的を絞ってアタックしてみる。
でも、3人とも分かりやすく誘ってるのになかなか靡かない。
一度、目の前で倒れてみたら山片課長にお姫様抱っこされて医務室に運ばれる間、心の中で「きゃーっ」と叫びながら目を瞑っていた。
目を覚ました時も山片課長が側で見守ってることを期待したけど、居たのは松崎さんだけ。
拍子抜けして帰ってしまった。
その後、山片課長が私をお姫様抱っこしたことが話題になって、付き合ってる?なんて噂もあって、ちょっと気を良くしていた。
うん、山片課長アリかも。
何よりあの逞しい腕にもう一度抱かれてみたいっ。きゃーっ!
一人浮かれて山片課長を誘ってみるけど、いつもなしのつぶて。全然誘いに乗ってこない。
二人きりになったとき、食事に誘ったけど断られて、もうやけくそだと、
「私たち、お似合いのカップルって言われてるんですよ。噂通りに付き合ってみません?後悔させませんよ?」
上目使いで言って、近付いて腕を取ったら払われた。
「お前は噂で付き合う相手を決めるのか?」
「えっ?」
「自分の意思はないのか、随分と安い女だな」
「…っ」
さすがにそこまで言われて私のプライドはズタボロ。
なによなによ!
じゃあ何で選べばいいの?
みんな私を選ばないじゃない!
それ以来山片課長に絡むのは止めた。
でも腹が立ってついつい課長を睨んでいたら、彼がいつも目をやる場所に気が付いた。