先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「ああ、私は何とも思って無いわよ。そりゃちょっとはいいなと思ったけど、ぜっんぜん靡かないから諦めたわ。松崎さんは?今でも好きなの?」
私が分かりやすくアプローチしてたのは会社で何度も見てただろう。
言葉もなく不安そうにこちらを見ていたけどちょっとほっとした様子。
すぐに真面目な顔をした。
「…好きです。ずっと、ずっと前から…。最近やっと想いが通じて付き合うことになったんです。…だから、もっと強くなりたい…」
そう言って涙を流す彼女を見て、ああ、こういう子が山片課長は好きなんだ…って思った。
「………西川さんは?」
涙を拭きこちらを見つめる松崎さんになんだか私も言いたくなった。
「私は…ただいい男と結婚して高いステイタスを掴みたいだけ。でも、上手くいかないのよ。いいと思った男はみんな彼女いるしね」
と言って、横目でちょっと睨むと松崎さんは肩をビクつかせ縮こまった。
「ふふっ」
その姿が面白くって笑いが漏れた。
「でも、西川さん素敵なのに…」
「そうなの!素敵なの私。でも寄ってくるのはステイタスの低い男ばっかり!」
「ステイタスってそんなに必要ですか?」
きょとんとした顔で聞いてくるからちょっと憤慨。