先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
じっと目を見て訴える。
「わかった、ちゃんと行く」
「絶対よ、午前中にだからね!」
「わかったわかった」
念を押されて苦笑いの航さん。
約束を取り付けてホッとしてると、
「ところで花笑」
「なに?」
「風呂に入りたいんだが、この手じゃ何も出来ない」
「あ……」
「花笑手伝ってくれるよな?」
ニヤリと悪ーい顔をしている。嫌な予感。
「頭なら洗ってあげる…」
目を逸らしそっぽを向く。
「頭だけじゃなく背中とか色々、片手じゃ出来ないんだが?」
ん?とこちらを覗き込んでくるからなんだか恥ずかしい。
有無も言わさずバスルームに連れていかれ、一悶着あったけど結局一緒にお風呂に入る事になった。
頭を洗ってあげたり、背中を流したりしてちょっと楽しかったけど、当然それだけで終わらず…
思う存分イタズラされお風呂でイタしてしまって、私はフラフラだった。
着替えも持たずに入ったからタオルを身体に巻き、髪を乾かして出てくると、先に出ていた航さんが立ったままミネラルウォーターを飲んでいた。もちろん腰にタオルを巻いた格好で。
目のやり場に困ってると、私に気付いて飲んでいたミネラルウォーターを渡してくれた。
半分ほど残っているそれを飲むと喉が渇いていたらしく一気にごくごくと飲み干してしまった。