先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「……っ」
さっきより腫れている。
これはもしやヒビでも入ったか?となぜだか冷静に考えていると花笑が湿布や包帯などを持って戻ってきた。
俺の前に跪き、黙って左手の手当てをしてくれる。
手が震えてる…。
じっと花笑を見てると今にも涙が零れそうで、
「私は…どんなに航さんが強くても、こんな怪我してほしくない…」
包帯の巻き終わりにそう呟き涙を溢す。
ああ、こいつは俺が怪我をしただけで泣くのか…。
胸の奥底から沸き上がる暖かい何かが溢れてくる。
花笑を引き寄せ、抱き締め、安心させるようにキスをして言葉を遮る。
病院に行くことを約束させられ、やっと安心したような顔をする花笑に自分も安心している。
「絶対だからねっ」と念を押す花笑にイタズラ心が疼いた。
「ところで花笑」
「なに?」
「風呂に入りたいんだが、この手じゃ何も出来ない」
「あ……」
「花笑手伝ってくれるよな?」
ニヤリと笑い有無も言わさずバスルームに連れていき、「あー手が痛い」と痛がる振りをして、渋る花笑と風呂に入った。
最初は大人しく頭など洗ってもらって、花笑も楽しんでいたが、この状況・・・、手を出さずにはいられない。
吐息のような声と悩ましげな表情に欲情して結局最後までヤってしまった。
風呂上がり、バスタオル1枚で出てきた花笑をからかい、赤い顔をして怒ってる姿もカワイイと思う自分は怪我より重症かもしれない、なんて思いながらまた抱き合った。