先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
翌日、細かい内容の擦り合わせを行い、夕方から2日間で地方に散らばっている5ヶ所の工場の視察。
明日の夜までには向こうに帰りたいから、移動時間を考えるとなかなかのハードスケジュールだ。
「地方の雇用促進の為にあちこちに工場があるんですよ。」
「地域社会への貢献も担ってるんですね。素晴らしい活動です」
日野が感心したように頷く。
「地域のパワーをもらってうちの会社は成り立ってるんですよ!がっはっはっ」
気のいい社長だな、好感が持てる。
視察に同行したのは、坂上社長、大島専務、そして昨日俺の隣にいた、原田みのりさん。
花笑と同い年か下に見える。
「この子は私の姪っ子でね!秘書みたいなこともしてもらってるんですよ!かわいいでしょう?うちは息子二人だからみのりがかわいくて仕方ないんですよ!がっはっはっ」
社長自慢の姪っ子らしい。恥ずかしいのか赤い顔をして俯いている。
一応昨日隣で話した仲だ。挨拶しておこう。
「昨日はどうも。よろしくお願いします。」
「よ、よろしくお願いします…」
隣でにやにやしている日野をひと睨みして視察は始まった。