先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
まずは3か所の視察。
海側に2か所、山の中に1か所あり、それぞれ近場で獲れた新鮮な魚介類や野菜を加工冷凍している。
環境も良く小さいながらも綺麗な工場で、従業員がきびきびと働いている。
試食した食材も申し分なく、順調に視察は進んだ。
移動距離もあり終わったのは8時過ぎ。さすがに疲れた。
工場を出ようとしたとき、前を歩く原田さんがよろけた。咄嗟に手を出し支えると、後ろから肩を抱いている形になった。
「大丈夫か?」
「あっはいっ、すいません!」
慌てて体勢を立て直し一人で立つ原田さん。
「強行スケジュールで疲れただろう。予定変更して悪いことをした」
「いえっ全然大丈夫です!」
赤い顔してかぶりを振る。
その光景を周りの3人が生暖かい目で見ているから、咳払いをして注意を促した。
「やあやあ、飲みましょう!」
飲み会好きの社長。昨日もさんざん飲んだのに今日も元気だ。
大島専務は静かに飲んでるようだがかなりの酒豪だ。ピッチが速い。
ちょうど原田さんが席を外してた時に社長の爆弾発言が投下された。
「山片君!みのりはどうかね?将来有望な山片君なら大事なみのりを任せられるんだが?みのりも満更じゃないらしいぞぉ~」