先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
ブッと飲んでたビールを吹きそうになり慌てて日野が差し出したおしぼりを受け取る。
日野は肩が震えていてこっそり笑ってやがる。
「い、いえ、私にはもったいない話です…」
「そんな謙遜しなくてもいいぞぉ~何ならお持ち帰りするかね?がっはっはっ」
この社長、なに危ないこと言ってやがんだ!頭の中で悪態をつく。
「いえ、付き合ってる女性がいるので、すいません。」
怒りを抑え、真面目な顔をして頭を下げた。
「あ~そうか。付き合ってる人いたんだね~残念だ。」
しゅんとする社長に、諦めてくれたとホッとした。
「…じゃあ、日野君はどうだね!」
横でこっそり笑っていた日野に話を振られ、慌てふためいている。いい気味だ。
「いっいえっ!俺好きな人いるんでっ!」
あまりの慌てぶりに社長も専務も大笑いだ。
咄嗟に好きな人がいるなんて日野もとうとう自覚したか?
くくっと笑いが漏れる。
横目で見ると、じと目でこちらを睨んでくる。
ふふん、お互い様だと笑ってやった。
夜中にやっと解放されることになりホッとした。
あの豪快さに毎日付き合ってるとちょっと辟易する。人は良いから憎めないが…。