先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
まさか先輩の恋人って⁉
土曜日
親友の里美と買い物をして楽しんでいたら、見慣れた後ろ姿を見かけた。
「日野さん?」
「えっ誰?ああ知佳の憧れの彼?どこどこ?」
「ちょっと!大きな声で言わないで!」
焦ってヤイヤイ言ってたら日野さんらしき人はいなくなってしまった。
「あー残念。憧れの彼の顔を拝めるチャンスだったのに」
ちっと舌打ちまでしやがった~!
「ちょっと!見間違いかもしれないのに!舌打ちはないでしょ舌打ちはぁ~」
「あはっゴメンゴメン」
「もお~」
っとまたヤイヤイやりあってたら、
「知佳ちゃん?」
と後ろから声がかかった。
振り向くといつもの花笑さん。
じゃなくて、
綺麗な黒髪を下ろして白い花柄のワンピースに爽やかな水色のカーディガンとベージュのパンプス、そしてコンタクトなのかメガネをしていない!
いつもと全然雰囲気が違っていて、春らしい装いがすごく似合っていた。
「花笑さん!」
あんぐり口を開けてたらしい。隣から里美につつかれて「口、口」と小声で注意された。
「こんにちは。こんなところで会うなんて。今日はお友達とお買い物?」
「あっはい。幼なじみの武藤里美です」
「里美、こちら職場の先輩の松崎花笑さん」
里美が紹介されてずいっと前に出た。