先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「改めて、航さんお誕生日おめでとう!今日お祝いできて良かった!帰って来てくれてありがとう」
「ああ、ありがとう」
「さ、火を消して‼」
航さんはケーキの蝋燭をフーッと一気に消し、ケーキを食べながら、航さんの出張の話や知佳ちゃんと飲みに行った話など離れていた間の話をした。
航さんが2杯目のシャンパンを飲み終えたとき、私はまだ1杯目の半分でもう顔が真っ赤だった。
航さんに「もうやめとけよ」と 頬を触れられ、その手に自分の手を重ねる。
ああ、航さんが帰って来た~。
暖かい手にまた実感して目を閉じる。
「花笑、前に欲しいものがあるって言っただろ?…」
「あっ、プレゼント!今あげるね!」
プレゼントを取りに立ち上がろうと手を離したらその手を掴まれた。
「ちょっと待て、その前に、貰いたいものがある」
「え、プレゼントじゃなくて?」
半分浮かしてた腰を下ろし航さんに向き直る。
ことのほか真剣な面持ちの航さんになんだか緊張する。
「ああ、お前の持ってるものが欲しいって言っただろ?」
「あ、うん…。何?」
首を傾げ航さんを見つめると、徐にポケットから小さなケースを取りだし、蓋を開けた。
「えっ………?」
「花笑、俺が欲しいのはお前自身だ。これからの人生全部、俺にくれ。」
「……」