先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

「花笑?」

呼びかけられて後ろを振り向くとTシャツにスウェット姿の航さん。

「何してるんだ?窓開けて…」

「目が覚めて水を飲みに来たんだけど、ちょうどきれいな朝日が昇ってたから見てたの」

「寒いだろ、体が冷えてる」

後ろからすっぽりと抱きしめられ温かさに包まれる。

「ふふっあったかい…。風が気持ちいいよ、今日は天気がよさそう」

「そうだな…」

そう言いながらそのまま手を伸ばし窓を閉められる。
せっかく気持ちよかったのに…と航さんの顔を見たら、甘い顔で見つめてくるからドキッとした。

「あっそうだ!まだプレゼント渡してなかったね!航さんソファーに座ってて!」

なんだかいたたまれなくて、プレゼントを思い出し、航さんから離れて取りに行った。
小さな紙袋を持って航さんの隣に座って、箱を取り出す。

「ほんとは昨日のうちに渡したかったんだけど…はい、おめでとう、航さん」

「…ああ、ありがとう‥開けていいか?」

昨日はあのまま寝室に連れてかれたから、ちょっとばつが悪そうにしてたけど箱を受け取り、早速開けてくれた。

「腕時計か」

中身はいろいろ悩んで決めたオメガのシルバーに黒の文字盤のシンプルな時計。
航さんは時計を取出し嬉しそうにまじまじと見ている。

「ありがとう、嬉しいよ。高かっただろ」

「ううん、この指輪に比べたら全然。喜んでもらえてよかった。それとこれ…」

指輪を撫で言った後、紙袋からもう一つ箱を取り出した。

「これは…」

渡された箱を開けると言葉に詰まる航さん。

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