先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

「なんだ、臨時休業の張り紙はしてあるはずなんだが…」

お義父さんが訝しげに言う。
「は~い」とお義母さんが応対に出いていったと思ったらすぐに戻ってきた。
お義母さんの後ろから男の人が一人ついてきた。

「よう航!嫁さん連れてきたっていうから来てやったぞ~」

そう言って航さんの隣にドカッと座る。

「貴章(たかあき)!なんで来たんだ」

航さんが驚いてる。
貴章さんという人は茶髪でウェーブがかった長めの髪を後ろに流しガッシリした体で小麦色の肌に白い歯が印象的なワイルド系のイケメンさん。

「日高のおやっさんが皆に触れ回ってるよ。まっちゃんも後で上等な酒持って来るってよ!」

「あのおっさん…おしゃべりにもほどがある…」

項垂れる航さんに大笑いの海斗さん。

「あっどうも~。航の嫁さん?俺、航の親友の福沢貴章で~す。よろしく!」

そう言って航さんを挟んで手を出すからおずおずと手を伸ばした。

「あ、松崎花笑と申します…」

手が触れる前にパシッと航さんに手を払われた貴章さん。

「ただの腐れ縁だ」

憮然としてため息をつく航さん。

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