先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
やっとお開きになったのは10時過ぎ。
航さんはさんざん飲まされさすがに酔ってしまったよう。海斗さんが部屋まで肩を貸して連れてってくれた。
お義父さんもお座敷で眠ってしまってる。
「お父さんはほっといていいわよ~」とお義母さんが毛布をかけてあげていた。
私は大量に残った食器をお義母さんとお片付け。
「ごめんね~お客様にお手伝いさせちゃって」
「いえ、皆さんがお祝いに駆けつけてくれて嬉しかったです。これくらいお手伝いさせて下さい。」
洗い物をしながらお義母さんと二人で並ぶ。
「ほんとにこんな素敵な子がお嫁に来てくれて嬉しいわ。航ったら30過ぎても結婚のけの字も出て来ないから心配してたのよ」
「航さんの方が素敵だからそんな心配ないと思いますよ」
にっこり笑ってお義母さんに向くとぽかんとした顔に首を傾げる。
「…花笑さんって、ほんとに航にベタ惚れなのね~嬉しいわぁ」
しみじみと言うから居たたまれなくて顔を赤くして苦笑い。
残った料理をタッパーに詰めるときに入れていたぶり大根。
「このぶり大根も、大根に味が染みててとっても美味しかったです。」
「あら、そう?それは私が作ったの。航の大好物なのよ、明日持って帰るといいわ。レシピも教えてあげようか?」
「はい!是非!」
お義母さん直伝のぶり大根のレシピを教えてもらいホクホク顔。
航さんが和食好きなのも頷ける。今度美味しいぶり大根を作ってあげよう。