先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「俺達はここら辺では何かと有名だったんだ、特に女子には人気で。だから……それなりに遊んでた。それを面白くない連中に因縁つけられたりして…。…あ~、もう、いいだろ?高校の時の話だ。」
「やっぱり、高校でもモテてたんだ…」
貴章さんも正晴さんもカッコ良かったから、3人並ぶと凄まじいくらいにモテてたんだろうな。
「昔の話だ。今はお前だけだぞ、わかってるよなっ?」
そう言って私の顎をすくい目を合わせたけど、なんだか焦っている航さんが珍しくてぽかんと見ていたら、居たたまれない様子で、
「…風呂入ってくる。お前は先に寝てていいぞ」
と言って、呆気に取られてる内にパタパタと支度をして出ていった。
「ぷっ…」
あんな航さんなかなか見れない。可笑しくて吹き出してしまった。
会社では硬派なイメージで通ってたけど、高校でも、きっと大学でもモテてたんだろうな。それなりに遊んでて…。ちょっと妬けるけど、素敵な人だから周りがほっとかないだろう。
今は、私だけを見てくれてるって思えるから、落ち込んだりしない。
昔のことちゃんと教えてくれる航さんを信じられる。
振り返り航さんの好きな月に照らされた海をもう一度眺めてからカーテンを閉めた。