先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「航兄さんはたまに帰ってくると子供たちと遊んでくれることがあるの」
話しかけられて雅美さんを見たら目が合った。挑むような強い目。
「あの…、航兄さんとはどれくらいお付き合いしてるんですか?」
「正式に付き合ったのは3ヶ月くらいです。」
「そうですか…。私は子供のころから航兄さんのことが好きでした。なのに、私には一度も振り向いてくれなかった…なぜ、選ばれたのがあなたなの?」
挑戦的な目で私を見据えた目が下を向く。
「私も…初めての出会いは私が中3の時、10年前です。私の一目ぼれでした。」
「え?」
意外だったようで私を凝視する雅美さん。
「告白しても断られて、それでも好きで、ずっとずっと好きで、傍に居たくて同じ職場に就職して、何度も好きって告白しました。…かなりしつこいですよね私」
自嘲気味に笑って目を伏せる。
「やっと、想いが通じて結婚することになって、今とっても幸せです。…でも、航さんは素敵な人だから凄くモテるんです。こちらに居た時もとってもモテてたんでしょう?」
雅美さんに聞くと下を向いたままこくりと頷く。
「たくさん遊んでたみたい…でも私には一つも興味を持たなかった…」