先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
兄貴たちのお陰で今日は大繁盛。
目の回る忙しさだったがそれも夕方には一段落した。
ごみを捨てに裏口を開けると雅美が立っていた。
「なんだ雅美、こんなとこ突っ立って。中入ればいいじゃんか」
「あ、海斗。……航兄さんは?」
なんだよ、兄貴に会いに来たのか。面白くなくてつっけんどんに答えた。
「兄貴ならとっくに帰ったよ!兄貴に会いに来たのか?残念だったな!」
「……」
いつもなら言い返して来る雅美が黙って下を向いてるからなんだか調子が狂う。
「なんだ、今日は大人しいな?兄貴に会えなくて落ち込んでるのか?」
「……航兄さんには朝会ったよ。可愛い人連れて…」
「……会ったのか。花笑さんは兄貴には勿体ないくらい素直で可愛い人だったよ。」
「…私、その花笑さんに言っちゃった…。航兄さんのことが好きだって。」
「はあ?なに言ってんだ!兄貴達は結婚するんだぞ!兄貴に言うならまだしも花笑さんになんて、横やり入れて嫌な思いさせることないだろ!」
「だって!昨日日高のおじさんに航兄さんがお嫁さん連れて来たって聞いてから私…何で私じゃないのって我慢できなくて、言っちゃいそうだから会いに行かなかったのに…朝保育園の子供達を公園で遊ばせてたら二人に会っちゃって…。言わずにはいられなかった!」
「だからってお前…」