先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
ゆっくりと腕を解き肩を掴んでこちらに向かせる。
まだ涙目の雅美と目を合わせた。
「お前さ、それって俺のこと好きってことじゃないの?」
「そ、そんなわけ………」
目を見開き俺を凝視するこぼれ落ちそうな大きな目。
その目をじっと見つめていると自然と言葉が出てきた。
「俺は、お前のことが好きだ。それこそずっと…子供の頃から」
「う、うそ。海斗なんていっつも女の子とっかえひっかえ付き合ってたじゃない!」
う…そこを言われるとイタイ…。
「いや、それは………どっかの誰かさんが兄貴のことばっかりで俺のこと見てくれないから……寂しくて?」
「なに言ってんのよ!バカ海斗!」
首をひねる俺の胸をポカポカ叩く手首を押さえ雅美の顔を覗き込む。
顔を真っ赤にして怒る雅美が可愛いって思う。
手を引いて抱きしめ耳元で囁いた。
「なあ、俺たち付き合わねぇ?もっと近くで俺のこと見てろよ」
「・・・・」
びくっと肩を震わせ俺の肩に額を乗せ黙ってる雅美をぎゅっと強く抱き締め直した。
やべえ、顔がにやける…。
長年の思いを伝えることができ、しかも雅美に触れることはあっても抱き締めたことは今まで一度もなかった。
雅美はまだ迷ってるみたいだけど俺は今こうしてることに満足だ。
「ゴホン…あ~話はまとまったかしら?」
後ろから声がして、雅美と二人で勢いよく振り向いた。