先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「母さんっ!」
「おばさんっ!」
同時に叫んだ俺たちを見て、いつからいたのか戸口に立ってた母さんは苦笑い。
「あ~ごめんね?良いところに水を差しちゃって。海斗なかなか戻ってこないから。また混みだしてきちゃってお父さんてんてこ舞いなのよ、海斗早く戻って。」
「あっやべっ」
「雅美ちゃんも、手伝ってくれるかしら?」
「あっはい!もちろん!」
「仲良くやってる所ごめんね~」
俺たちを見ながら口元に手をやりニヤニヤしてる母さんに、自分たちがまだ抱き合ってる状況を思い出す。
「はっ、海斗!離れてよ!」
「おっ!」
焦った雅美が俺の胸をドンと押すからよろけた。
「おっおばさん!これは何でもなくてその!あのっ…」
ふふふふふ~とまだ笑ってる母さんに言い訳しようとしてるけど言葉が出てこない。
「…手!洗ってきます!すぐお手伝いしますね!」
そう言ってそそくさと中に入っていった。
「ったく、いってぇな~」
押された胸を摩りながら戻ろうとするとすれ違いざま母さんに言われた。
「ふふっ、海斗、もうひと押しだったわね~」
「…なんだよ、邪魔したのは母さんだろ・・」
「何言ってんの、仕事中に長々話してる方が悪いのよ。でも楽しみだわ~もうすぐ海斗にもお嫁さんが!」
いや、まだそこまではいってないんだが・・・。
ルンルンと上機嫌で戻ってく母さんの後ろ姿を見ながらため息をついた。