先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
そんな航兄さんが家を継がずに地方の大学に進むと聞いたときショックだった。
家を継ぐのは海斗。航兄さんがこの街からいなくなってしまう・・・。
海斗のせいで…と思った時期もあったけど「俺は日本一の寿司屋になる!」とキラキラした瞳で宣言する海斗を憎めなかった。それより、航兄さんより頼りなくてほっとけない海斗を見ててあげないと!というなんだかわからない使命感が私の中にあった。
とうとう航兄さんが大学に行くために明日引越しをするというとき、私は自分の思いを航兄さんにぶつけた。
「航兄さん、私、航兄さんがずっと好きだった。…今すぐ付き合ってとは言わないけど、大学終わったらこっちに帰ってくるよね?その時には私を航兄さんの彼女にして!」
勢いをつけて告白して、下を向き強く手を握って航兄さんの返答を待った。
少しの沈黙の後、航兄さんが口を開いた。
「雅美…。気持ちは嬉しいが俺はお前の事、今までもこれからも妹みたいに思ってるから恋愛対象とは見れない。簡単には付き合えないよ、怒る奴もいるしな…。それに、俺はこの街には戻らない。」
「えっ!?」
驚いて顔を上げると決意に満ちた顔をしている航兄さん。