先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

お店が閉店し、後片づけをして遅い夕食を海斗の家で頂いた。
その間、生暖かい目で私たちを見るおばさんにいたたまれない気持ちでいた。
おじさんは気にも留めずお酒を飲んでいる。

「ごちそーさん。雅美、ちょっと。」

「えっあっ、ちょっと!あ、おばさんご馳走様!」

私の腕を強引に引き連れ出した海斗に引きずられながらおばさんを見たら含み笑いで手を振っている。
あはははは~と苦笑いで返した。
海斗の部屋に連れ込まれ、ベッドの上に座る。

「なによ!海斗」

「さっきの続き」

意外と真剣な顔してこちらを見る海斗に息をのむ。

「お前が好きだ。俺たち付き合おう。絶対相性いいと思うんだ。」

「あんた付き合ってる彼女はどうすんのよ」

「今、付き合ってる彼女はいない。お前もだろ?俺は結構一途なんだ。」

「何言ってんのよ、遊びまくってるくせに…」

「うっ、だから、それは過去のことで…」

怯んだ海斗を横目にため息をつく。

「私はやっぱり航兄さんの事…」

「兄貴は結婚するんだ。いつまでもそんなこと言っても仕方ないだろ?それに…」

言葉を切った海斗を不思議に思って向くと両頬を挟まれ見つめられゆっくり言い聞かせるように言い放つ。

「お前は、俺のことが、好きなんだ。」

「なっ何言ってんのよ!どうしたらそんな自信過剰なこと言えるわけ?」

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