先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
いつもほんわかナチュラルな花笑さんが、今日はネイビーの透けるシフォンのふんわりしたトップスに、総レースのタイトスカート。足元はピンヒールを履いている。
サイドを編みこみして横に流した長い髪は巻かれていて余計に大人っぽく見せている。
そして何より、眼鏡をしていない!
「やだ、知佳ちゃん恥ずかしい!あんまり騒がないで…」
私が騒ぐもんだから花笑さんは恥ずかしそう。
「あ、ごめんなさ~い」
へへっと苦笑いの私ににこっと笑った花笑さん。
「ううん。知佳ちゃんもすっごく素敵!かわいいわよ。ね?航さん」
「あ?ああ…」
隣にいる山片課長に見下ろされ思わずびくっとなってしまった。ごまかしの苦笑いをしておく。
山片課長もいつもよりフォーマルなスーツ姿がビシッと決まっていて、ヒールを履いた花笑さんの横にいてもまだ上の長身。二人が並ぶとすごくお似合いで見惚れてしまった。
課長が徐に腕時計を見た。
その時計は花笑さんが課長に誕生日プレゼントにあげたものだそう。
花笑さんの左手には婚約指輪がきらりと光る。
二人は苦難を乗り越え結ばれる私の憧れのカップル。
「そろそろだな」