先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

(あの二人、仲悪かったんじゃないの?)
(あの噂は嘘?)
(蟠りもなさそうだ・・・)

昔の噂を知っている人たちが口々にあの噂は嘘だったんだ、と周りと話していた。
よかった、この光景を見てあの噂が払拭してくれるのを願う。
その間もずっと花笑さんの腰に手を置いてる課長。

「はじめまして、橋本と申します。操の同期だとか?」

「はじめまして、山片です。ええ、同期の中の一人です」

課長と橋本さんが握手をしている。
二人とも顔は笑っているけど、その手が僅かに震えていて……力、込めてる……?
元カレと今カレの対決~?その事を知ってる人達は冷や冷やして見てただろう。

「あ~お兄さん、他にも挨拶する方々がいるから行きましょうか?」

後ろに控えてた置田くんが声を掛け二人は手を離し、一言二言話して、お姉さん達は違うところへ挨拶に行った。置田くんナイスフォロー…だったのかな?

「俺も取引先に挨拶があるからお前はあいつらと一緒にいろ」

私達に目を向け、何事も無かったような顔でやっと花笑さんを離してスタスタとその場を後にした課長。
苦笑いでこちらに来る花笑さんに駆け寄った。

「花笑さん大丈夫ですか?」

「あ、うん。何か皆に見られてて恥ずかしい…」

「とりあえず、あっちで飲み物もらいましょうか?」

「そうね」

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