先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
周りの野次馬から逃れるように、花笑さんと私達は料理の並んでるビュッフェコーナーに行った。
飲み物を飲んで一息ついた頃、里佳子が興味津々で聞いてきた。
「松崎さん、さっきの何だったんですか?凄いラヴシーン」
「ラ、ラブシーンだなんて!あれは私が転びそうになったのを支えてもらっただけよ!」
恥ずかしそうに否定する花笑さんに興奮気味の里佳子が追い討ちを掛ける。
「いえいえ、あれは完全にラヴシーンでしたよ。みんな見た?鬼と呼ばれた課長のあんな顔始めてみましたよ!しかもキスするくらい近づいてドキドキしました‼」
「しかもずっと腰に手を置いてるし!」
紗季も言葉を続け、花笑さんは困り顔。
「ま、まあまあ。花笑さんと課長は結婚するんだから当たり前でしょ?ほらほら、美味しいビュッフェが待ってる!食べようよ!」
なんとか二人をビュッフェに行かせ引き離しに成功。二人の突っ込みを花笑さんに謝った。
「なんかすいません花笑さん」
「ううん。全然大丈夫。恥ずかしかっただけだから」
まだ顔の赤いまま、にっこり笑ってくれた。
ついつい私も気になった事を聞いてしまった。
「花笑さん珍しく置田くんのお姉さんの前ではしゃいでましたね?」
「あはは、確かに思わずはしゃいじゃったわ。操さんは素敵な人だから…」
苦笑いだった花笑さんは遠くにいる置田くんのお姉さんに目を向けている。