先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
ブルーラグーンのきれいな青を見つめていると、ジントニックを半分まで一気に飲んでグラスを置きこちらを向いた日野さん。
「知佳ちゃんはさ、置田の事どう思ってる?」
突然脈絡のない質問に戸惑う。
「え?どうって?」
「知佳ちゃん、置田と仲良いから…その、好きとか嫌いとか、男として」
真剣な顔を向けて見つめてくる日野さんに驚きながら答えた。
「な、そんな、置田君は同僚として仲はいいですけど、男として見たことはありません!」
「…置田の方はどうかな?」
「お、置田君だって私の事なんかなんとも思ってないですよ!」
「そうか…」
納得したのかしてないのか、日野さんは目をそむけまたジントニックを一口飲んだ。
「なんでそんなこと聞くんですか?」
今まで恋愛の話なんて一つもしてこなかった。
というより、二人ともあえてそのことに触れなかったと思う。
目を逸らしたままの日野さん。
「え、いや、知佳ちゃんは誰が好きなのかなと思って…」
「好きな人、は…。そういう日野さんはどうなんですか?」
思わず日野さんが好きと言ってしまいそうなのを堪えて日野さんに聞いた。
「俺の事は別にいいんだよ」
目を泳がせたまま遠くを見る日野さん。
そんなのずるい。
自分も答えてないのを棚に上げ聞いてしまった。