先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
「はぁ~~良かった。確信はあったけど置田がちょろちょろしてたからなんか焦ってしまった…情けねぇ」
大きなため息をついて聞き捨てならないことを言うから思わず顔を上げた。
「え?確信?」
「知佳ちゃんが俺のこと好きなのはわかってた」
「えっええ~~っ!」
思わず大きな声を上げて日野さんに口を押えられてしまった。
「っと~、知佳ちゃん。ここは大人の嗜みの場だから静かにしようね」
苦笑いの日野さん。手をどけられ大きく息を吸った。
「ご、ごめんなさい。あの、私、分かりやすかったですか?」
「ああ、知佳ちゃんもわかりやすいよ。恋してますって顔して俺を見るからたまんない」
にっこり笑われて、自分の顔を覆った。
頑張って隠してたのにダダ漏れだったなんて恥ずかしい・・・。
悶えていると私の手首を掴み顔を覗き込んでくる日野さん。
「そんな恥ずかしがってる知佳ちゃんもかわいいよ。俺たち今日から付き合う、でいいよね?」
首を傾げて確認する日野さん。
願ってもない申し出だもの断るわけがない。
「よ、よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしく」
にっこり笑った日野さんにまた抱き締められた。
嬉しい、こんな日が来るなんて。
今までのことが思い出されてぐるぐる回る。
日野さんの胸の中で幸せを噛み締めて目を閉じた。
どうか夢だとしても覚めませんように…。