先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
小山said
-----
---
「お~い、西川~」
近寄って目を瞑ってる西川に小声で呼びかけてみるが返事はない。
「寝たか…」
気が強くて高飛車で自分の見せ方をよく知っている女。
マドンナなんて周りに呼ばれてるけど、俺には無理してるようにしか見えない。
入社したころからこんな感じだったが、ホントはさびしがり屋で曲がったことが嫌いな優しいやつ。
ずっとこいつを見てきてそう思った。
後輩のくせに俺の事「小山」と呼び捨てにするのはこいつだけ。
気を許してるのか許してないのか、俺が絡むといつも噛みついてくる。
「もう少し素直だと、可愛げがあるのになぁ」
そっと、頭を撫でてやる。
何を焦っているのか。
そんな恰好しなくたって、会社の制服姿だってお前は十分魅力的なんだよ…。
「手こずっておられるようですね」
「え?」
前の方から声を掛けられ、ルームミラー越しに運転手と目が合う。
「あ、すいません。会話を聞いて、つい。」
「あははは、まあ、確かに手こずってますよ。でもいいんです。俺、Mっ気あるみたいなんで」
ニッと運転手にミラー越しに笑い、また西川の寝顔を見る。
「私の妻も気が強くてねぇ。でもそんな妻が素直になったときは可愛くて。ツンデレってやつです。私もMなんですかねぇ」
50代くらいのおじさんが目尻を下げて言ってくる。
妻かぁ、いい響きだな…。
「それは、完全にMですね~」
ミラー越しにまた目を合わせ二人で笑った。
こんな会話、西川が聞いたら「馬鹿じゃないの?!」って言われそうだ…。
くくっと一人で苦笑いを溢してまた西川の頭を撫でた。
お前の事を見てる奴が近くにいるってこと、早く気づいてくれよ…。
念を送るようにめったに見られない西川の寝顔を見つめ、ため息を吐いてシートに背を預けた。
-----
---
「お~い、西川~」
近寄って目を瞑ってる西川に小声で呼びかけてみるが返事はない。
「寝たか…」
気が強くて高飛車で自分の見せ方をよく知っている女。
マドンナなんて周りに呼ばれてるけど、俺には無理してるようにしか見えない。
入社したころからこんな感じだったが、ホントはさびしがり屋で曲がったことが嫌いな優しいやつ。
ずっとこいつを見てきてそう思った。
後輩のくせに俺の事「小山」と呼び捨てにするのはこいつだけ。
気を許してるのか許してないのか、俺が絡むといつも噛みついてくる。
「もう少し素直だと、可愛げがあるのになぁ」
そっと、頭を撫でてやる。
何を焦っているのか。
そんな恰好しなくたって、会社の制服姿だってお前は十分魅力的なんだよ…。
「手こずっておられるようですね」
「え?」
前の方から声を掛けられ、ルームミラー越しに運転手と目が合う。
「あ、すいません。会話を聞いて、つい。」
「あははは、まあ、確かに手こずってますよ。でもいいんです。俺、Mっ気あるみたいなんで」
ニッと運転手にミラー越しに笑い、また西川の寝顔を見る。
「私の妻も気が強くてねぇ。でもそんな妻が素直になったときは可愛くて。ツンデレってやつです。私もMなんですかねぇ」
50代くらいのおじさんが目尻を下げて言ってくる。
妻かぁ、いい響きだな…。
「それは、完全にMですね~」
ミラー越しにまた目を合わせ二人で笑った。
こんな会話、西川が聞いたら「馬鹿じゃないの?!」って言われそうだ…。
くくっと一人で苦笑いを溢してまた西川の頭を撫でた。
お前の事を見てる奴が近くにいるってこと、早く気づいてくれよ…。
念を送るようにめったに見られない西川の寝顔を見つめ、ため息を吐いてシートに背を預けた。